いずさんの ”神社日和 ブログ”

Izusan_jinja Blog

HOME | Blog Corner | 泣沢女神

山の花

伊豆山神社

2018.05.07

泣沢女神

伊豆山神社にお祀りする神さまのうち、泣沢女神を紹介させていただきます。

ブログ画像

舞 姫


泣 沢 女 神
 
「なきさわめ の かみ」と読みます。
古事記では、「泣沢女神」と表記され、
日本書紀では、「啼沢女命」( なきさわめ の みこと)と記されています。

イザナギ(伊邪那岐神)、イザナミ(伊邪那美神)は夫婦の神さまで、国土など森羅万象を生みます。
そのイザナミが、火の神カグツチ(迦具土神)を生んだ際、亡くなります。

イザナギが、イザナミの死を嘆き悲しみ、流した涙から成り出でた(生まれた)神さまが泣沢女神です。



大和三山の一つ、香久山の麓、畝尾(うねお)に哭沢森(なきさわのもり)があって、そこの木の本に泣沢女神を祀ったともいわれます。(奈良県橿原市)

『万葉集』に「哭沢の神社」に祈願した歌があり、畝尾都多本(うねお の つたもと)神社が、この神社にあたるとされます。



 「哭沢の 神社に神酒すゑ 祷折れども わご大君は 高日知らしぬ」

 「なきさわの もりにみわすえ いのれども わごおおきみは たかひしらしぬ」
                  万葉集 巻二(二〇二) 作者 桧隈女王

 ”哭沢の社に神酒を供え、回復(蘇り)を祈ったけれども、その甲斐なく大君(高市皇子)は天をお治めになってしまわれた”



生命復活の神とされる泣沢の神に祈ったけれど、高市皇子(たけちのみこ)は蘇ることなく、天上の宮をお治めされることになったという、嘆き悲しみながらも皇子の蘇りへの願いが祈りとなって歌に託されているともいえます。
 
イザナギが、イザナミの死に際し嘆きとともに蘇りを願った気持ちに着目してのことか、万葉集編さん以前の時代から生命復活の神として信仰を受けていたことが推測されます。

延命長寿や出産など、生命および再生に関わる信仰と言ってもいいと思います。
 

「ナキ」は ”泣き” 、「サワ」は ”沢山” 、「メ」は女性を、意味するのが、名前の由来ともいわれます。

古代、葬儀で儀礼的に大声をあげて泣く「泣女・哭女」(なきめ) という女性がいました。
死霊をあの世に安全に送るための儀礼で、魂(たま)呼ばいや悪霊除けの呪法ともいわれます。

その「泣女・哭女」の役割りを神格化したのが「泣沢女」ともいわれます。
   

畝尾都多本神社には、「泣沢」という井戸があり、これを御神体としています。
そして、その井戸には泣沢女神の涙が存在するといわれます。


そのようなことから、泣沢女神は、こんこんと湧き出る泉の水に宿るともいえます。



伊豆山神社 本宮が鎮座する伊豆山には、清水の湧き出ている泉が3か所あります。

そのほか、春先だけ、地中に浸み込んだ雪解け水が湧き出る場所もあります。



天から大地に降る雨は、森を育み、田畑を潤します。
また、山に降った雨や雪は地中にしみいり、微生物の働きによって浄化され、人間が飲んでも大丈夫なものとなります。
そして、春の山菜、秋のキノコなど山の恵みも、もたらしてくれます。

水は、生命にとって不可欠な存在です。



そのようなことから、水の神さま生命の神さまともいえる泣沢女神を古代からお祀りしてきたことは、人間に必要で大事な水が湧き出ることに畏敬の念を持ち、山を大切にしてきた証しともいえるでしょう。


今日も、最後までお読みいただきありがとうございます。

新刊本のご案内

目には見えない存在への畏敬が主題です

神恐ろしや


 

電子書籍のご案内

神社参拝と共に食を楽しむ本です。

『おとなの神社旅』

(Kindle本)

Kindle Unlimited の対象になっています

電子書籍を、紙に印刷しても入手できます(オンデマンド版)

 

ムック本のご紹介

神社部門の監修を担当した本です。

すばらしいお寺・神社 ベスト80

 

 

縁切り縁結び寺社スポット62